特別企画
SPECIAL第2回
"夢はねぇ、叶うのよ" ママの一言がある芸人の人生を変えてしまった!?
皆様、初めまして。
イシバシハザマというコンビで芸人をやっております、石橋と申します。
普段からお酒が大好きで、ウロウロと呑み歩く私ですが...実は上京して9年、1度もスナックへ行った事がないのです!
...ナゼか?
答えはシンプル!
店の中が見えないから怖い。
んで、
料金設定がよく分からなくて、またまた怖い。
私はスナックの前に立ち、扉を開けようかどうか悩み結局スルーして馴染みのバーへ行くという、これぞ小心者の極みといった行動をとってきたのです。 しかし!ショットグラスの様な小さな器の私はこのお話しを頂いた時に決心したのです! スナックの扉を開けてやろうじゃないか!
そう思った時に気がついたのです。 スナックの扉というのは、スナックの入り口にあるのではなかったのだと。扉は、私の心の中あるのだと。
・・・はい。意味はありませんので気にしないで下さい。
兎に角、私の様な小心者で
スナックに入った事がない、けど、興味はあるんだよ!
ってな人の参考になれば良いなと思います!
さて、記念すべき1回目のスナックへ! 私のホームタウン三軒茶屋の三角地帯と呼ばれる、呑み屋がこれでもかと密集しているエリアでスナックを探す事に。
それでも独りで行くのは流石に心細い。という事で後輩芸人を1人連れて、
いざ三角地帯へ!
・・・いや、いきなり独りスナックは根性いるから無理ですよ。スミマセン・・・三角地帯をウロウロする事、30分。セット料金を店先に書いてるお店もあれば、無い店も。あの店かな?いや、こっちの店かな~?いや、せめて中が見えればなぁ。
・・・何だろうか?この緊張感。やはり怖い。
お前もモチロン緊張しているだろ?と後輩を見れば、完全に
「早よ店決めろや」
という目線がこちらに。
そんな顔すんなよ。分かったよ!もうどの店も同じだ!ここにするよ! 勇気を振り絞り、とあるスナックの扉を開け中に入った瞬間・・・。
「ゴメンね~!今から予約で団体くるのよ~!」
「あ、分かりました・・・また来ます・・・」
断られて少しホッとしている私の心を見抜いてか、またも後輩からの冷たい視線。 その後、勇気を出し扉を開けては「満席です」の繰り返しが何軒か続き、私は完全に心が折れかけていた。
どうしよう?今日はスナック諦めようかな?そう思いながら歩いていると、後輩が
「このお店入って駄目だったら今日はやめましょう」
とスナック金太郎の扉を指さした。
扉を開け中に入ると、品の良さそうなママが1人、カウンターの中に居た。
「りょ、料金てどんな感じですか?」
上ずった声で私が聞くと、ニッコリと微笑んで丁寧にママは説明してくれた。
「チャージが千円で、ドリンクが1杯500円。カラオケは1曲200円よ~」
何だろうか?初めて来た気がしない。 私は自然とカウンター席に座っていた。
セットで出してくれた、トマトのキムチが美味い。ポテトサラダも美味しい。カウンターだけのこじんまりとしたお店だが凄く居心地が良い。
これは、完全に当たりを引いた。
すっかりと落ち着いて飲み出した私は、後輩の今後の話を聞いていた。
実は、今月で後輩は芸人を辞めて、介護福祉士になる予定であり、老人ホームのアルバイト先が決まったという話しになった。
ふと、ママに私は言った。
「いや、僕達は売れてない芸人でしてね、コイツは今月で芸人やめちゃうんですよ」
「何年やったの?」
「11年です」
ああそう。次の仕事、頑張りなさいよ!という流れになると完全に思ったその時、ママが意外な言葉を発した。
「まだ11年じゃないの。辞めちゃ駄目よ。夢は叶うわよ。」
私達は、え?という顔をしていたのだろう。 ママは自分の生い立ちを話してくれた。
「私はね、7歳の頃から美空ひばりさんの大ファンでね。あの頃は今みたいに芸能人に会えるチャンスなんてほとんど無い頃でね。でも本当に大好きで絶対に会って知り合いになりたいって思ってたの。そりゃ、周りのみんなは私の事を馬鹿にしたわよ。ひばりさんの通った学校に私も入って、ひばりさんに会う為に歌手デビューしてね。」
「え?ママ歌手だったの?」
「そうよ。で、20歳の頃よ。ひばりさんと会うチャンスに恵まれて、気に入ってもらってねぇ。色々あって、ひばりさんの弟さんと結婚したのよ」
「え?えぇ!?」
「それでねぇ、歌手やめてから、ひばりさんの巡業に一緒に着いてまわってねぇ・・・本当に夢のようだったねぇ。夢はねぇ、叶うのよ。」
「え~~!!え?この壁に張ってる美空ひばりさんと一緒に写ってるのは・・・」
「若い時の私よ」
「え~~~~~!!!!」
ママは円山鈴子という名前で歌手デビューをし、その後女優をしていたのだ。
「ね?もう少し芸人頑張んなさいよ。あなたは化粧して女装とかしたら似合いそうね~」
更に私達は驚いた。この後輩はタクピョネスという名前で、化粧と女装をして舞台に立っているのである。
ママは初めて会った後輩の事を完全に見抜いていたのだ。
介護福祉士から、ゆくゆくは看護師になりたいという後輩の話しを聞いていたママは言った。 「あなたはピンク色のナース衣装着て舞台とかに立ってみたら?」 「あ!いいっすねぇ!おい、タクピョネス。大きい注射器とか持ってみたら?」 「いいわね~!その注射器持って、打っちゃうぞ♡ってギャグなんかどう?」 ママと私で盛り上がりだしたその時、タクピョネスがバン!とカウンターを叩いて言った。
「あの、ちょっといいですか!」
あれ?これは怒ってるのかな?ちょっとふざけすぎたかな?そう思っていると後輩は静かに言ったのだ。
「もう一度、お笑いをやります!」
ママはニコニコしている。
何年後か分からないけど、いつかTVの画面からお茶の間に「打っちゃうぞ♡」というギャグが流れる日が来るかもしれない。 そして、私にとって思い出に残る、これ以上ないスナックデビューの夜となった。 正直、1発目でこの感じ。もうスナックの天井が出てしまったかもしれない。
こうなりゃ次回との落差が怖いぞ。
まぁ兎に角、皆さんも「スナック金太郎」一度は行く価値ありありのお店です。
ではまた!
東京都世田谷区三軒茶屋2-13-7
03-5430-1220
イシバシハザマは、吉本興業東京本社(東京吉本)所属のお笑いコンビ。大阪NSC24期生出身。同期に小笠原まさや、若井おさむ、エハラマサヒロ等がいる。 元々は吉本興業大阪本社に所属し、硲が石橋に声をかける形で、2001年4月にコンビ結成。当初は主にbaseよしもとで活動し、漫才をやっていたが受けなかったためショートコントに切り替えた。2005年にABCお笑い新人グランプリ優秀新人賞を受賞。その後2006年4月、吉本興業東京本社に移籍。
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